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3 AM Passedball

希に書くところ。

堂上氏、日中に夜の街を歩く。

 湯浅政明監督の作品が劇場で公開される、しかも2ヶ月連続で、と聞いた時は、正直に言うと驚いた。
 そのうちの1本、夜は短し歩けよ乙女、先日の水曜日に観に行ったので感想めいたものを書こうと、筆(キーボードである)を取ることとする。
 以下は一応折りたたみ記事としておく。ネタバレが含まれている故。

  さて、いきなり作品と関係ない私事で申し訳ないが、前日の堂上氏といえば、精神面が悪く、家に帰ってきて、風呂に入る気力もなく、就寝前まで歩くことも億劫な状態であり、僅かながら残っていたドグマチールを夜と、当日の朝に飲んでいた、ということは記しておきたい。
 閑話休題。初めに結論から言ってしまえば、この映画は「複雑な味のカクテル」であると個人的には思う。湯浅監督と言えば、クセの強い作品を作ることが多いイメージだけれど、今作は「マインドゲーム」「カイバ」「四畳半神話体系」のそれぞれの世界の雰囲気を混ぜ込んだ、味わい深い物であった。ただし、一口目でとてもオイシイ、というワケではない。二口、三口飲んでいるうちに……ということである。
 つまり言うと「原作を読んでいる」「アニメ版の四畳半神話大系を見ている」「とにかく湯浅監督作品の世界観が大好きだ」の、いずれかに該当していなければ、拍子抜けしてしまうかも、という可能性はありえると思う。要因としては、原作では全4章立ての1年の話だった物が、なんと一夜の話に凝縮されているからだ。その構成力には確かに舌を巻くが、ぽん、ぽんと移り変わる光景は見てる途中でも心の忙しさを感じてしまったのは事実だった。
 もちろんストーリー展開は、それを踏まえて原作から改変がされている。古本市までは誤差(ただし、火鍋の結果が”私”にとってプラスとなるカタチに変化しているのは大きな違いだろう)だけれど、偏屈王が開幕したあたりから、雰囲気がミュージカル映画そのものに変化を遂げ、魔風邪恋風邪に該当する部分では、湯浅監督作品特有のカオスシーンが繰り広げられる。内心「これは慣れていない人にはついて行けないのでは……」と感じてしまった。映像としては好きなシーンなのだけれど、個人的には、原作の流れのほうが好きである(樋口式飛行術がエセに化けたのが手痛い)、”私”が完全に受け身になってしまったからだ。が、流石に一晩では成長するのは難しいから仕方がないが。
 ストーリー面では不安がチラホラとあったが、演者の皆様の演技がとても素晴らしかった。特に、ロバート秋山氏は、もしかしたらそこらの声優では適わないのかも、とも思えた。そういえば傍のキャラクタの声優で、ロッチの両氏も何気に出演していたのだけれど、違和感がなくスタッフロールを見て驚いた(落合福嗣の名前があったのにも驚いたが)。マインドゲームといい、こういう部分の操縦は湯浅監督、本当に得意だなあと。
 さて、正直に言うと満点を上げることは難しい。何度か見たらさらに好きな映画になるだろう、とは思うけれど……。
 何故か? そういえば、タイトルの回収をしていなかったか。この映画を見ている途中、堂上氏は夜の街を歩いているような感覚がした、そして、エンドロールが終わると、朝を迎えた感覚がして、マイナスな気持ちがリフレッシュされていた。そういう映画でも、あるのだ。